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九州から北アルプスへ。実録・表銀座縦走 ── 僕たちがアルプスを目指す理由 2026-08-02

鮮明に脳裏に焼き付いている、圧倒的な景色、圧倒的な体験。

初めてのアルプス山行を経験してから、ちょうど1年ほどが経った。

里山大国の九州で、タープ・ビビィ・ハンモック・トレラン・釣り・自転車と、毎日全力で山遊びを楽しんでいた僕たち。ですが、今年は想像以上に梅雨前線の通過が早く、雨が過ぎ去ったと思ったら、息をのむような蒸し暑い夏がやってきた。

「毎年忘れているけれど、夏の九州ってこんなにも暑かったっけ…?」

そう疑いたくなるほどの猛暑。正直、この暑さでは近所の里山へ足を発進させる気力すら奪われる。

そんな風に少し山から気持ちが遠のきかけていた時、あの1年前の強烈な体験が蘇った。

「そうだ、アルプスへ行こう!!」

 

九州からだとどうしてもハードル(移動・時間・費用・高山への不安)が高く感じられるアルプス遠征。

僕自身も全く同じハードルを感じていたひとりです。ですが、一度でもあのスケールを体験してしまうと、そんな不安なんて吹き飛んでしまうほどの“壮大な楽しさ”が待っています!

とにかく、アルプスでしか出会えない景色があり、アルプスでしか味わえない体験があるんです!

 

福岡からのリアルな移動・アプローチ


実際に山行計画を立て始めたのは、出発のわずか2週間ほど前。

日程は、週休2日にプラス1日の休みをもらった「3日間」(夜間移動を含めると実質4日間)。

旅をコンパクトにまとめつつ、山を最大限に楽しむために今回選んだルートは、北アルプスといえば誰もが一度は歩く王道コース表銀座縦走(燕岳〜大天井岳〜槍ヶ岳)。


「表銀座」という響きだけでも、なんだか惹かれますよね!

諸説ありますが、

「表」:北アルプスで最も王道で賑わう華やかなメインストリート

「銀座」:明るく見晴らしのよい快適な尾根道を、まるで都会の銀座を歩く(銀ぶら)ように軽快に歩ける道

という由来から名付けられたそうです。


実際に歩いてみて痛感しましたが、この常念山脈の稜線美は、初めてアルプスを目指すハイカーにも自信を持っておすすめできる最高のルートでした!


往路:夜行バスと電車を乗り継ぎ、登山口へ

 

日曜日の18時に営業を終え、サッとパッキングと夕食を済ませて21時に天神発の夜行バス「どんたく号」へ乗車。

3列独立シートの快適な個室空間で一晩しっかり睡眠をとり、翌朝8時に名古屋へ到着。

そこから電車と登山バスを乗り継ぎ、12時ごろには中房温泉登山口から歩き始めることができました!


復路:下山後は飛行機で一気に福岡へ

 

下山後は旅の余韻に浸りつつ、身体を早く休めるために水曜日の夜便(飛行機)を選択。

ゴール地点の上高地に12時前頃に下山し、そこからアルピコ交通のバスと電車を乗り継いで中部国際空港(セントレア)へ。

往路とは違ってあっという間、21時頃には無事に福岡へ帰着しました。

公共交通機関やテント場の予約を取ったのは出発のわずか2日前でしたが、ハイシーズン直前(7月中旬)の平日ということもあり、スムーズに確保できました。

費用も移動費・テント場代込みで1人約40,000円弱と、かなりリーズナブルに抑えることができました。

また、公共交通機関を利用する最大メリットは、登山口と下山口が異なる今回のような「一筆書きの完全縦走ルート」を無理なく組める点にあります!

 

天空の稜線ハイク ── 移り変わる絶景と憧れの槍ヶ岳へ


表銀座を歩くのは僕自身も今回が初めて。

大パノラマが広がる稜線、目まぐるしく移り変わる景色、そして遠くに見える尖った「槍ヶ岳」が、一歩進むごとにどんどん大きく近づいてくるワクワク感!

とにかく楽しすぎる3日間は、とても3日とは思えない濃密な時間でした。


【Day 1】北アルプスの洗礼と燕山荘

 

初日は合戦尾根をひたすら登り、燕山荘を目指す。

この日だけは少し雲行きが怪しく、レインウエアを着込んで行動するほど肌寒いコンディション。

それでも、合戦小屋名物の「スイカ」だけは絶対に食べたい!と勢いよく頬張った(美味しすぎて写真を撮り忘れた笑)。


標高を上げるにつれて出会う、高山植物たちの甘い香り。

「ああ、またアルプスに帰ってきたんだな」と胸が熱くなる。九州にはない高山の空気に触れながら登っていると、長丁場の登りもあっという間で、夕方前には燕山荘へ到着。

サクッとテントを張り、夕食を済ませてテントの中で疲れを癒す。

外は一面真っ白なガスで包まれていましたが、その分「明日の晴天」への期待が膨らむ。

夜間、バタバタと風に揺れるシェルターと大きくしなるテントポール。

朝まで続いた強風の音になかなか熟睡とはいきませんでしたが、悪天候を事もなげに凌ぎ切ってくれた頼もしいGatewood Cape。またひとつ、ULシェルターとしての信頼と経験値が上がった。

(※写真は殺生ヒュッテテント場)

 

【Day 2】感動の稜線歩きと、槍ヶ岳の頂へ

 

ほんのりと朝焼けに染まる空を見届け、燕山荘から燕岳の山頂まで朝の散歩へ。


「これだ……!!」と思わず叫びたくなるような、圧倒的なアルプスの絶景が目の前に広がっていく。

どこをみても、どこまででも続いていそうな綺麗な景色。

すれ違うハイカーたちと「綺麗ですね!」と自然に笑顔を交わし合う、あの空気感。

写真や動画では決して伝えきれない、自分の目と身体に直接刻み込まれる圧倒的な風景。

これから歩んでいく表銀座の美しすぎる一本道が、はるか奥までずっと続いていう。

もう、ハンパねぇ!!

 

2日目は、待ちに待ったメインディッシュ。

燕岳から大天井岳を経て、槍ヶ岳へと向かうダイナミックな稜線ハイク。


遠くにはモクモクとした夏の雲、頭上には一面の青空が広がる絶好の晴天!

右を見ても左を見ても、360度どこを見渡しても雄大な山々が連なっている。

1年ぶりに再会できた雷鳥にも癒されるひと時。

朝から景色に夢中になりすぎて、ふと我に返るとお腹はペコペコ。

そんな時にもアルプスは本当に便利で、要所に魅力的な山小屋が点在している。それぞれの小屋名物グルメを目的地にして歩くのも、アルプス山行の大きな楽しみ方のひとつです。

大天井ヒュッテでは、名物の「槍ヶ岳ブラックキーマカレー」を注文。

スパイシーな味わいが、疲れた身体にエネルギーを注入してくれた!


歩みを進めるごとに、どんどんその全貌を露わにしてくる槍ヶ岳。

ヒュッテ西岳からはヘルメットを装着し、緊張感のある岩稜帯エリアへと突入する。

梯子や鎖場を慎重に、まるで極上のアトラクションを楽しむように抜け、ヒュッテ大槍を通過。いよいよ今日の幕営地へ。


槍ヶ岳山荘と殺生ヒュッテのテント場は、どちらも事前予約不要。

当初は憧れの槍ヶ岳山荘に泊まる予定だったが、夜間の天候の変化を考慮し、小屋番さんとも相談のうえで標高を一段下げた殺生ヒュッテにテントを張ることに決定。

これが大正解!

テントの目の前にそびえ立つ槍ヶ岳がズドンと視界飛び込んでくる。格好良すぎて言葉を失う…。

(テント場に到着するとMLG Red editionがもう一張り、お客さんでした。)

設営後、防水スタッフサックとして携行していたHyperlite Mountain Gearのスタッフパックに必要最低限のアタック装備を詰め込み、いざ槍ヶ岳の頂へ!

殺生ヒュッテから槍ヶ岳山荘までは九十九折りの登り。そして山荘から山頂までは、四足歩行で慎重に登る岩場の連続。

この手に汗握る緊張感……昨年のジャンダルム以来の感覚が蘇る。

そして辿り着いた、槍ヶ岳のてっぺん。

そこから見渡す景色と達成感は、間違いなく格別のものだ!

今まで歩いてきた表銀座のすべての道のり、その奥に見える常念山脈。そして表とは対照的に荒々しく灰色に輝く裏銀座の稜線、振り返れば大キレットの切れ落ちた岩壁。北アルプス全体を高い場所から見下ろしているような、どこか贅沢すぎる感覚に包まれる。


やっぱりアルプスは大きくて、どこまでも深い!

今回の行程だけでも120%大満足なのですが、一度訪れると「次はあそこを歩いてみたい」「あの稜線の先にはどんな世界が広がっているんだろう」と、新たな憧れが次々と溢れ出てくる。

そんなことを考え始めるようになると、もうすっかりアルプスの虜。


【Day 3】達成感に包まれながら上高地へ

 

旅の余韻に浸りながら夜を過ごしていたら、案の定、朝寝坊してしまった。

3日目は横尾を経由して上高地へと一気に下山し、そのまま福岡へ帰還するルート。


たった3日間の滞在でしたが、その時間以上に深く胸に刻まれる達成感と満たされた気持ち。

これほどまでに特別な感動を与えてくれるのは、九州から遠く離れた場所にあるアルプスだからこそ。この強烈な「特別感」は、遠征というハードルを越えて向かう僕たち九州ハイカーだからこそ味わえる特権かもしれません!


標高を下げるにつれて深くなっていく樹林帯。九州の山とは生えている植物も異なり、雪解け水の澄んだ沢が流れていたり、見上げれば圧倒的な岩壁が聳え立っていたり。

下山ルートの景色も面白く、長い道のりもあっという間に感じられた。


上高地に無事下山した後は、横山さんおすすめの山賊焼きをご飯大盛りでガッツリ食し、旅を締めくくる(こちらも夢中で頬張りすぎて写真を撮り忘れました笑)。


最後は名古屋での乗り継ぎ時間に、矢場とんの「味噌カツ定食」をご飯おかわりで完食!

お腹も心もいっぱいの状態で、福岡行きの飛行機に乗り込みました。


ギア&ウエア実録レビュー


今回は公共交通機関(夜行バス・電車・飛行機)をフル活用した旅だったため、移動時のストレスを極力減らす軽量コンパクトなパッキングを意識。

メインパックにはPA'LANTEのv2 w joey strapsをチョイス。バックパックひとつで街歩きや電車移動でもまったく邪魔にならず、非常に快適に旅をこなすことができた。

そして、初めてのアルプス遠征で誰もが一番頭を悩ませるのが「行動着・就寝着のレイヤリング」です!

行ったことがない高山だと、どれくらい寒くてどれくらい汗をかくのか、イメージが掴みにくいですよね。

ベースレイヤー:STATIC / Doublecell Big Polo 軽Edition

今回僕が選んだのは STATIC のポロシャツ。

OMMのCoreシリーズとかなり迷いましたが、移動時の「街馴染みの良さ」とルックスでこちらを選択!

実際に樹林帯から風の抜ける稜線まで歩いてみて、適度に風を遮りつつ汗の抜け感は抜群。日差しが強い稜線では襟を立てて首元を保護できる点も重宝しました。

スリーピングシステム:ENLIGHTENED EQUIPMENT / Revelation & OMM / Rotor Vest

就寝着は、僕たちが絶大な信頼を寄せているキルト型寝袋頼り。

掛け布団のように柔軟に温度調整ができるため、寒暖差のあるアルプスの夜でも快適そのもの。保険として持参した OMM の Rotor Vest も、停滞時の防寒着として良い仕事を併せてしてくれました!



福岡店を、「アルプスの出発地」に。


1年前の僕がそうだったように、「アルプスはいつか行ってみたいけれど、自分にはまだ早いかな…」と憧れのままで止まっている方がたくさんいると思います。

でも、少しでも興味があるなら、ぜひ一歩を踏み出してあの世界を体験してほしい!

それほどまでに、山の価値観を大きくひっくり返してくれるような素晴らしい体験が待っています。


そして、1年ぶりにアルプスを歩いて僕が改めて気づかされたこと。

それは「僕たちの身近にある九州の里山の素晴らしさ」でした!


結局は無い物ねだりなのかもしれません。

壮大な絶景を求めて遠くへ旅立つのか、身近な地元の山を自分なりのアプローチで最高の体験に変えるのか。


山への眼差しや楽しみ方は、自分次第でいくらでも広げることができる。そんな大切なことに気づかせてくれたのも、アルプスという特別な場所を歩いたからこそでした!


**Moonlight Gear 福岡店を、あなたのアルプスへの「出発地」に。**


今年これからの計画はもちろん、来シーズンに向けた作戦会議まで。

お店で大きな地図を広げながら、みなさんの相談たくさん待ってます!