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人の気配が完全に消えた。九州最深部を2泊3日で駆け抜けた|馬見原→湯山峠ファストハイキング記録 2026-04-27

はじめに

 

九州の山の中でも、脊梁は少し特別だと思う。
展望が開けるわけでもなく、派手なピークがあるわけでもない。

ただ、奥へ進むほどに人の気配が薄れていく。
そして気づくと、本当に誰もいない森の中に立っている。

今回の山行は、ルートそのものよりも、
どうやってこの区間を成立させるか。

往路と帰路の繋ぎ方、
限られた時間の中でどう動くか。

そこに一番頭を使った計画だったと思う。

九州脊梁のこのエリアは、
ルートに入ってしまえば、どこでも眠れるような自由さがある。

いわゆる“ステルス天国”。

この余白の多さが、
自分たちの遊び方にはちょうどいい。

今回のメンバーは3人。
吉谷と、東京から来た山﨑、そして福岡の松本。

松本は熊本出身で、この山域で育った山男だ。今回のルートも彼が2年前に4泊しながら歩いたルートだ(その時は逆走)。

大阪からは夜行バスで2泊3日。
山﨑は前泊して、熊本駅で合流した。

熊本駅に、3人がそろう。

馬見原から湯山峠まで。
2泊3日、できるだけ軽く、できるだけ速く。

静けさの中を進み続ける、ファストハイキング。
その記録です。


アクセス・交通費・時間

今回の山行はすべて公共交通でアクセスした。

■ 往路
大阪 22:20 → 熊本 8:27(夜行バス)|9,500円
熊本 9:11 → 馬見原 11:50(バス)|2,060円

馬見原到着後、そのまま準備して13時頃に入山。

■ 帰路
湯山 14:40 → 人吉 16:01(バス)|1,360円
人吉 16:53 → 新八代 17:36(バス)|1,500円
新八代 17:53 → 新大阪 21:26(新幹線)|18,500円

合計:32,920円

移動を含めても2泊3日で完結する行程。
この奥深さの山域を、この時間とコストで成立させられるのは大きい。


1日目:馬見原から入山

馬見原に到着したのは11時45分頃。

最後の補給ポイントであるヤマザキショップで、
行動食を少しだけ買い足す。

足りているか。重すぎないか。子のギリギリを考えるのが楽しい。

そんなことを考えながら。

登山口の手前で、気になっていた店に立ち寄る。
JAGAAD BROS DOUGNNUTS。

自分の中には、15年かけて集めた
“山に入る前に寄る店”のピン付けされたGoogle Mapがある。

今回もそれが役に立った。

揚げたてのドーナツがとにかく美味しく、
気づけば1時間ほど滞在していた。

この時間が、最後の“外の時間”だった。

——

13時頃、入山。

最初は一気に標高を上げていく。

まだ体が山に馴染んでいない。

神ノ前山あたりで、空気が変わる。

「ああ、九州の山に入ったな」と思った。

この日は黒峰すぎたあたりでステルス泊。

夕暮れ前に夜行バスの疲れもあったのか翌朝の起床時間を決めて寝袋に入ったら、その後の記憶はない暗い深い眠りについた。


2日目:縦走の核心

初日の遅れを取り戻すため、
3時起き、4時出発。

まっちゃんはCumulus Magic 100だと寒かったのか眠れなかったみたいだ。

 

朝食もそこそこに、歩き続ける。

向坂山でようやく一息。

ザックを下ろして、コーヒーを淹れる。

Pa’lanteのmini joeyに、
Apex Cupとmug yokokiを収めたミニマムな構成。

遠くに国見岳を眺めながら飲んだ一杯は、
驚くほど美味しかった。

気づけば1時間。

少し長すぎたかもしれない。

——

ファストハイキングというとハードに聞こえる。

でも実際は違う。

軽くすることで余白が生まれる。

その余白でコーヒーを飲み、景色を眺める。

そういう時間が好きだ。

最近は写真も楽しい。

今回はGRを持ってきた。
さらにフィルムカメラにも興味が出てきた。

国見岳は熊本最高峰の山。そこでその後の行程もあったので大休憩を取る。

余分に持ってきていたSmall Twistを投入して、360度山々で最高の場所で日光浴、少しシエスタ。

国見岳を過ぎたあたりから、
山﨑の足が少し重くなる。

振り返りながら進む。川辺川の源流点で水を汲んで足を進める。

18時半、ようやく辿り着いた。今夜は白鳥山付近でビバーク。

テン場での水は枯れていた。ちょっとくだったところに水を汲める沢があったので調理用の水を汲む。明日も山場が続く。しっかりと夕飯を食べて、睡眠を取ることに。

明日は3時起き。

自然と会話は減っていった。


3日目:夜明けと江代山

白鳥山から先はルートがやや不明瞭。

ヘッドライト、プラスルートファインダーでピンクテープを探りながら、その頼りに進む。

昼から雨予報。
できるだけ早く下山したい。

——

朝焼けの中、江代山が見える。

最後の登り。

山﨑のフィルムカメラで一枚撮らせてもらった。

一枚に込める感覚。

その瞬間だけは、今でもはっきり覚えている。

次は自分でも持ってきたいと思った。

江代山の登りは厳しかった。壁かと思うくらいの斜度で最後の最後にこの登りはかなりしんどかった。特に水も残りわずか。貴重な水で口を湿らしながら足を進める。

登りきったとき、
達成感よりも終わりの気配を感じた。

少し寂しかった。

この3日間、ずっと楽しかったんだと思う。


下山と峠ラン

湯山峠へ下る。

温泉か、飯か。

どちらかしか選べない。

「走るか」

4kmの峠ラン。

先に到着して待つ。

山﨑が来ない。

15分後に到着。

少し顔つきが変わっていた。

いい山を越えた顔だった。

しっかりと下山飯を食べてお風呂をメイクして時間通りのバスに乗り込み、大阪への帰路についた。


交通費と可能性

交通費は約32,900円。

すべて公共交通、2泊3日。

軽量化することで行動の自由度が上がり、
限られた時間でも長い距離を繋げることができる。

週末+αでも、ここまでの山行が成立する。


おわりに

温泉に浸かりながら、今回の山行を振り返る。

ファストハイキングの楽しさは、速さではなく余白にある。

軽くすることで、景色を楽しむ時間が増える。

そして、限られた日数でも冒険ができる。

2泊3日でも、十分に深く山に入れる。

また一つ、行きたいルートが増えた。

押忍!




PACKING LIST

製品 重量(g)
バックパック
mini joey 340 
合計  
   
テント・シェルター
Six Moon Designs Gatewood 340 
Evernew Trail Mat 140
MSR Mini Ground hog Stake 10 
合計  490
   
スリーピングシステム
EE Apex 50 334 
ULA Rain Kilt 70 
Hyperlite Mountain Gear Stuff Sack Pillow 48 
合計 452 
   
クッカー・カトラリー
evrenew Apex Cup 0.2 41.5
Grrr stove 17
Evernew Ti フーボー 24
Qiwizごとく 85
Nodate Mug yokoki 35
合計 234.5
   
ウェア(就寝着)
CORE PRESS PULLI 185 
OMM Core Tights 135
合計 320 
   
ウェア(行動着)※BW(ベースウェイト)に含まない
Core Tee  
any crew  
MLG EQ Unfake LT Pants  
Hiker Trash  
VIVo Trail Flow  
Sun hoody  
Mountain King ZTrail Blaze SkyRunner 115cm  284
合計  
   
   
食料&燃料
small twist 100 
POW Bar 40 
袋ラーメン 80 
ナッツ類 300 
合計  820
   
その他
ファーストエイド一式 150 
High Trail Designs Ultralight Roll-Top Stuff Sack "X-Large  32 
GR III  257
Hyperlite Mountain Gear Repack 40 
milestone / MS-J1 "Route Finder" 133
milestone / MS-G4  48
モバイルバッテリー10,000mm 200 
KATADYN Befree AC  72
合計 932 
   
BW(ベースウェイト) 2166 
PW(パックウェイト) 2986