削ぎ落とした先に残るもの 2026-05-01

ーファストパッキングの面白さってなんなんだろうー


山行中も帰りの飛行機の中でもずっと考えていたけど、結局は「ギア」なんじゃないか、という結論に至る。

 

山の中で長い時間を素早く行動するための道具選び。
軽さを前提に、そこからさらに削ぎ落としていく。

ギアとしっかり向き合わないと、達成できない。


ポケモンで言うなら、四天王に挑む前の最終チェック。

手持ちと持ち物を見直して、
「これでいけるか?いや、こっちの方がいいか?」なんて、確認するあの感じ。


地図と工程と睨めっこしながら、ひとり酒を片手にあーだこーだ。

もしかしたら、パッキングしている時間が一番楽しいんじゃないかと思うほど。



ー九州脊梁ー


通常なら4〜5泊かけて歩くルートを、2泊で駆け抜けた。


1日15時間行動。累積標高は約2400m。消費カロリーは5000kcalオーバー。

それを3日間。


このスピード感の中で、選び抜いたギアを使いこなし、山に全力でぶつかる。

まるでそれは人体実験をしている感覚で、更に自分の身体を理解していく。


何でも持っていけるわけじゃない。
ウルトラライトの装備から、さらに引き算していく。


その過程を経た人だけが背負える、極限まで軽くなったバックパック。

そして、その身軽さが「泊まりで山を駆け抜ける」という選択肢を可能にする。


“不可能を可能にする”

これがファストパッキングの本質というか、醍醐味なのだろうか。



ー今回の旅の始まりー


吉谷から「今年も大峯奥駈道を歩こう」と連絡が来た。

ただ今年は雪が多く、4月上旬ではファストパッキングは厳しそう。


代案を探していると、
福岡店の松本から「九州脊梁はどうですか?」と提案があった。


九州脊梁。
九州のへそと言われるだけあって中央部を貫く山域で、深い森と起伏に富んだ稜線が続くエリア。

街にすぐにエスケープできる道はなく、大自然の中を堪能できる最高の遊び場だ。


聞いてみると松本はこの山域が九州の中で一番好きらしい。

調べてみると移動費は思ったより安くて、大峯と大差ない。

なら行くか!と急遽決まったこの旅。

 

自然とメンバーは吉谷、松本、そして僕となったが、MLGを代表するストイックでマッチョな2人に囲まれる今回の山行はなんだか心配である。


ともあれ朝イチの便が1万円程度と安かったので、せっかくならと山行日の前日に熊本へ前乗りをすることに。

 

 

10時には熊本に到着。

 

なんだかんだ熊本には初めて来た。

正直もっと“田舎”を想像していたけど、実際は程よく栄えていて、心地いい街だった。

ちょうど良い住みやすそうな街の雰囲気で、すぐに気に入った。

 

人もどこか柔らかくて、よく話しかけてくれる。

熊本が地元の松本に、おすすめのお店を教えてもらったのでフィルムカメラ片手にゆっくり巡る。

 

 

気づけば夕方。

松本と合流して夜の街へ。

馬刺しと刺身、焼酎。何を食べても飲んでも美味しい。

もしかしたら熊本は最高の街かもしれない。幸福感が満ち溢れ、気付けば夜が更ける。

明日から地獄のファストパッキングが始まろうとしていることは
この時はまだ知らない。

 

この日の宿、旅館みやこ。2人で5000円と破格。

 

 

翌朝、熊本駅で吉谷と合流。

大阪から夜行バスで来たらしい。
相変わらずの見事なフットワークの軽さ。関西方面からだと夜行バスでサクッと行けていいな。値段も安い。

※熊本はワンピースの街らしい

 

 

今回、九州脊梁をファストパッキングしながら常にあった感情が

「もっとゆっくり歩きたい」だった。

詳しい山での様子はこれから上がるYoutubeを見てほしいのだけど、

山行がしんどいとかを抜きにして、九州の山域は本当に自然が豊かで、ただ歩くだけでも満たされる場所。

動植物の気配が濃くて、視界の中で生命がずっと動いている感覚。


 

国見岳を越えた先の稜線が本当に気持ちよくて、立ち止まりながらじっくり味わいたかった。

でも、それを“駆け抜ける”という贅沢も確かにある。

本来4泊かける行程を2泊で駆け抜ける感覚は、

時間を圧縮しているようで、どこかタイムスリップしているような不思議さがあった。

 

 

削りに削った装備。限られたギア。

それを使いこなして自然に挑むこの遊びは、どこかサバイバルに近い。


そんな中でも吉谷のファウトパッキングスタイルは想像と少し違って、

適度に止まりながらコーヒーを淹れ、気持ちのいい場所で昼寝をするという、飴と鞭スタイル。

速さの中にちゃんと“豊かさ”があって、それが妙に心地よかった。


ただ、平地も登りもペースが変わらない吉谷と松本は、生き物としての力強さを感じつつ正直、ついていくのは結構しんどかった笑


それでも、Pa’lanteの Mini Joeyという相棒のおかげでなんとか食らいつく。


「ここ越えたら、もっと気持ちいいですよ!」

その言葉に何度も騙されながら、ひたすら進む3日間。

 

ゴールかと思えば、残り4kmの林道ランが始まる。


限界の中で気づけば、スマホからは大音量のモーニング娘。

不思議と、まだ走れた。


軽さや速さももちろん大事だけど、削ぎ落とした先に残る“自分”とどう向き合うか。

ファストパッキングとは、山という大自然と対話をしながら自分の限界に向き合う遊びなのかもしれない。


自分って意外に根性あるんだ〜って感じた3日間でした。

まぁでも、次はのんびりテンカラでもしながら沢泊したいなぁ。

ね、まっちゃん。




PACKING LIST

製品 重量(g)
バックパック
mini joey 340 
合計  
   
テント・シェルター
Six Moon Designs Gatewood 340 
SULUK 46 / Atani Titanium Tent Stakes 10
CarbonCore Tent Stakes
VARGO Titanium Ultralight Tent Stake 15 
Durston / Z-Flick Tent Pole 88 
合計  458
   
スリーピングシステム
Revelation APEX 50°F 334 
エクスペド  クローズドセルマット (カット済み) 280 
合計 614 
   
クッカー・カトラリー
EVERNEW / Ti (RED) Mug 300 FH 51 
風防 14
開発中ゴトク 4
トラ 17 
ファイヤードラゴン3個  10
合計 96 
   
ウェア(就寝着)
OMM CORE PRESS PULLI 185 
OMM Core Tights 130 
OMM Core Sleep Socks 38 
ULA Equipment RAIN KILT 70 
合計  423
   
ウェア(行動着)※BW(ベースウェイト)に含まない
2-tacs ハット  
MLG  シャツ  
OMM  コアベスト  
UNfake LT Pants  
高山植物図鑑  
PRIMUS TRAIL FLOW  
OMBRAZ Classic Polarized Photochromic  
合計  
   
   
食料&燃料
スモールツイスト2食 200 
行動食(パウバーなど) 1000 
合計  1200
   
その他
Ultralight Rain Mitt 30 
High Trail Designs Ultralight Roll-Top Stuff Sack "X-Large  32 
ファーストエイド一式  150
Hyperlite Mountain Gear PODS 34 
milestone / MS-J1 "Route Finder" 133
カメラ(フィルム)  700
カメラ(コンデジ) 100 
KATADYN Befree AC  72
モバイルバッテリー 40,000mm(Youtube撮影用)  450
オズモポケット(Youtube撮影用) バッテリー込み  300
合計  2001
   
BW(ベースウェイト)  3289
PW(パックウェイト)  4489