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稜線の先で強くなった彼ら 2025-07-17
こんにちは。ムーンライトギア東京の山﨑です。
気温も上がって、いよいよハイシーズンの到来ですね。
この時期になると毎年のように足が向いてしまうのが、北アルプスの裏銀座周辺。
北アルプスの中でも特に山深く、見渡す限り山、山、山。
北アルプスの迫力ある景色も堪能しながらも山深い、あの感じが好きなんですよね。
中でもお気に入りなのが、双六岳から三俣蓮華岳へ抜ける稜線。

足元には高山植物が広がって、まるで楽園の中を歩いているよう。

その先に待つ三俣山荘では、美味しいサイフォンコーヒーとケーキを味わいながらのんびりと北アルプスを眺める、そんな時間が最高のご褒美だったり。

余裕があれば鷲羽岳に登ってみたり、雲ノ平まで遊びに行ったり。
黒部の源流でテンカラを楽しむのも定番コース。

下山後にはもちろん温泉。
新穂高温泉の奥飛騨の湯は格別で、場内にはキンキンに冷えた湧き水まであって、気づけば一生引きこもってしまいそうなので注意が必要。
山頂への登頂が目的なのか、釣りや稜線歩き、小屋での美味しい食事、下山後の温泉、何が目的なのか分からなくなるくらい魅力の詰まった場所。
仕事に疲れたときや、都会の喧騒から少し逃げ出したくなったとき。
そんなときにふらっと散歩に出かけるような感覚で、毎年何度も足を運んでいるお気に入りの山域だ。

今回はそこに、“初アルプス”となる友人2人と一緒に旅に出た。

2人とも低山経験はあるけれど、アルプスの標高差やアップダウン、気温の変化は未体験。
だからこそ、コースタイムはゆるめに設定。
何よりも絶景を思う存分に楽しんで欲しいから、余裕を持った山行計画に。
僕自身、この山域は見慣れているので景色は目で楽しみつつ、コースタイム含めて体力的にも余裕があったから、昆虫を撮ったり初アルプスの2人の表情を追ったりと、いつもと少し違う楽しみ方ができた。



綺麗な蝶たち。

花の下で休憩中のトンボ。
確かにこの日は暑かった。
少し景色が開ければカメラを取り出して子どものようにはしゃぐ大人2人。


小屋があればご飯と飲み物を必ず注文、沢を見つければ前日に買った浄水器を使って美味しそうに水を飲む姿。


「これが本当の北アルプスの天然水だ〜」なんて。
真夏なのに雪の上を歩いて感動する2人。

何もかもが初体験で、とにかく楽しそう。
見ているこっちまで幸せになってしまうような時間。
「連れてきてよかった〜」と何度も思った。
そして到着、双六山荘。

なんだかんだで予定の3時間オーバーだけど、それも計画のうちだ。
当初は三俣山荘まで行ってテント泊予定だったけど、天候が崩れるのは分かっていたので無理はせずに道中で計画を変更。
何よりも2人が楽しそうだったから急かす理由なんて何もなかった。

テントを設営し終えたら、夕陽を見に双六岳へ。
…が、あいにくのガス。何も見えず。


でも2人は不思議と満足そうで、そのまま下山して宴会モードへ。


と、そこへ突如訪れた“山の洗礼”
爆風+横殴りの雨。風速はおそらく30m近く。
天気予報からある程度は想定していたけれど、個人的には今回のメインイベントとも思っていた。
楽しいだけが山じゃない。
厳しさや不自由さの中で、それをどう乗り越えるか。
そこにこそ、山の奥深さとギアの面白さが詰まっている。
今回、2人が使っていたのはSix Moon DesignsのLunar Solo。
稜線や強風下でも、張り方さえ工夫すればしっかり耐えてくれるシェルター。

僕もアルプスではたくさんお世話になったシェルターだ。
どうやって倒壊させずに設営するか、雨の吹き込みをどう防ぐか…。
僕は答えをある程度持っているが、あえて言わず、“ギアと会話する時間”をたっぷり味わってもらった。

そして迎えた明け方。
例の如く寝坊常習犯の僕よりも早く撤収を済ませ、小屋に避難してホットミルクを飲んでいた2人。
もしかしてもう懲りちゃったかな…?と思って扉を開けると、
「マジでヤバすぎっす!」と爆笑しながらギア談義をしていた。
「ガイライン、岩で擦れて切れたっす。3mm以上じゃないと厳しいかも」
「化繊の寝袋、濡れても寒くなくて普通に寝れました」
「足先の濡れと冷え対策に、coreソックスはマストですね」
なんて、自分たちのギアや昨晩の経験を振り返りながら、あれこれ反省と発見の連続。
この時間こそが、一番楽しい瞬間かもしれない。
そして僕自身も、今回はD.D Pantsを実戦投入。
一番感動したのは、なんといっても脱ぎ履きのしやすさ。


テント内の狭い空間でもサッと着脱できるワイドシルエット。
靴を履いたままでもそのまま履けてしまうのが、とにかくありがたい。
しかも、履いたときの蒸れ感が少なくて快適。
暑くなったら裾のゴムを締めてたくし上げることで、シチュエーションに合わせた履きこなしもできる。
「レインパンツ、ちゃんと履こうかな」って思わせてくれる一本だった。
雨の中あーだこーだ話しながら下山中に、
「実は夜中に泣きそうだったんすよ」なんて言ってくるもんだから、やりすぎたかなとも思ったけれど、その後に稜線で爆風を受けて「気持ちィ〜〜!!」なんて叫んでいる姿を見て、確信。
もう、山の魅力にどっぷり浸かってる。

北アルプスという山域には、本当にいろんな魅力が詰まっている。
自然の豊かさ、小屋の快適さ、温泉や水、そして人との時間。
”誰と行くか”によって、その山はまた全然違って見える。
”誰と”じゃなくて1人も全然ありだ。
むしろ僕は1人で山に入ることの方が多いのだけれど、1人だと感じること、そして考えることが多い。山と対話してる感覚で気を遣わずにどっぷり浸かれる感じが好きだ。
ともあれ今回の山旅は、そんな“変化”を強く感じることができた数日間だった。

まだまだ夏はこれから。
ぜひ、あなたも“夏の楽園”に足を踏み入れてみてください。


もちろん下山後の〆は二郎系です。
それではまた〜。
