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脊振山系縦走-千代田編- 2024-03-29
Day1
早朝6:20の羽田発のスカイマークに乗り福岡天神で食料を買い、福吉駅の歩き出しは11時半ごろ。前日準備がしっかりできる方なら10時スタートができる縦走路
福吉。田園風景が気持ち良い。福吉エリアは牡蠣小屋が有名のよう。いつか食べにまた来たい。
伊予柑農家を通り過ぎると前日の雨で落ちた伊予柑がたくさん。落ちているのを一つだけ拾わせていただいた。
一座目の十坊山は頂上にこんもり岩が。かわいい山。岩からの景色が素晴らしく糸島から唐津湾まで海が美しい。
ここら辺は移住者が多いらしい。サーファーじゃないけど海の近くも憧れる。自分の家からは海は望めないのでそんな暮らしを想像してみた。
稜線は思ったより風が冷たく、重たく感じる。手袋をしながら進む。二座目の浮嶽エリアは岩が大きくボルダーも多かった。時間に余裕があり攀じるのが好きな人はトライできる小さな岩もちらほら。
我々は白龍稲荷でお参りを先を急ぐ。なにせ70kmの工程。峠を越え女岳の急登を登りながら結構きつい。そうしていると水場のポイントになる荒川峠に到着。この縦走は水場が少ないので注意が必要。時刻は16:30。
「驚きなんですけどまだ10kmしか進んでないです」
よっしーが言う。マジで??
アップダウンが激しく全然距離が稼げてないのか…
夜用に水をフルで担ぐのは正直萎えてしまっているので 今日はここら辺で幕営地を探すことに。すでに全縦走に黄色信号w
この峠は風が通りかなり体が冷える。
寝るのとこは樹林帯に逃げようと少し歩き、とすぐに右側に平たい杉林の空間を発見した。
自分のテントはHMGのMID1。ボトム付属で設営は1分。
体が冷えると行動が億劫になる。こう言う時何も考えないで設営できるのが最高。バスタブが立ち上がる適度な広さが嬉しい。(無駄がないけど狭くない)という絶妙なフロアの広さ。雨が降っても荷物と靴が濡れないこれまたいいサイズの前室。天候によってバスタブの高さが変えられるフロア。ぐちゃぐちゃのトレイルにグランドシートの幅を心配せず,
はみ出る不安から解放され、寝転べる気楽さよ。今回は寒いので高めに立ち上げた。これで476gは革命だと思う。本当に良い幕だ。
そして、、今回は秘密兵器を持ってきているのだ!!
NEMOの新マットTENSOR™ ALL SEASONのREGULAR WIDE。
家のベットと遜色なくパンパンに膨らますことができてR値5.4の超断熱、幅64cmの広々マット。
北海道の-15℃オーバーでも体感した快眠間違いなしの夢寝床。これにEEのRevelation −6℃の組み合わせ。どんなに身体が冷えてもこいつがあれば大丈夫だと思える寝床の組み合わせだ。
ULハイカーなら530gの重さを堂々とおすすめするのは抵抗があるのが普通だ。そんな人は400gレギュラーマミーでも充分満足できると思う。ビビィサックに合わせるにはワイドは幅がありすぎるのでビビィ派にはマミー一択だ。
このマットはR値のスペックだけでなく実際に寝てみてわかる寝心地が至高。
TENSOR™ ALL SEASONをおすすめする理由は
”最高の寝心地でより山で爆睡できて体力回復できる”
”初めてのマットとして4シーズン不安なく使い倒せる”
その二つだ。
だからそのための150g up(ウーバライト比)という提案。当たり前だけどうちのお店はもちろんカリカリで超軽量で山行をしたい人のニーズは変わらず応援するのは変わらない。
THERM-A-REST NeoAir UberLiteはファスト山行の最大の武器だし軽量さと暖かさのバランスを取ってXLite NXTのRSも選択肢に入れてみてほしい。
たかが150g、されど150g。
その選択の幅の楽しさを責任感を持って当店は提案していきたい。そのくらいこのマットは面白いし新しいと自分は思っている。
夜はよっしーからフォータン中津の堀田さんが発売しているお米を使ったリゾットと横山くんからは鍋とラーメン、クラフトビールも飛び出し豪華なご飯がたくさん出てくる。こんなにかついできてくれたのねwありがとう。ハイカロリーで体温は元に戻り、締めに仁井田本家の熱燗をデザートとした。
そんな感じで思ったよりハードな背振縦走に若干不安を感じつつ翌日からの地形図の等高線を見ながら就寝。寝床の安心感は絶大で本も読まずに爆睡。
明け方にテントを叩く雨の音がした…
DAY2
早朝起きるとバッチリと雨が降っていた。
前日はだいぶ距離が稼げなかったので気合いを入れて歩き出す。昨日は登りで汗を結構かいてしまったのでメリノウールのウエアは脱ぎ OMMのコアベストと DDジャケットのみで歩き出す。
薄手のDDをシャツのように羽織り、寒さ具合によりジッパーを閉じるか開けるかで調整する。足早に進むにはこの組み合わせが具合が良い。みぞれが降ってきた。
時刻電波塔のある羽金山も真っ白、草原が美しい雷山も真っ白と 景色が綺麗だと楽しみにしていた稜線は視界0😭さらにここら辺の山域は良い木が育つ肥沃な山のようでめちゃくちゃ滑る。
今回は偶然みんなシェルターのためのポールと言うよりも、歩くためのトレッキングボールを持ってきていた。それがなかったら結構なスローダウンしていただろう。
下りは久しぶりにポールに助けられた。自分はテストしているOMMのカーボンポールを1本のみだったんだけど弓なりになってくれるカチコチでない設定が好きでかなり助けられた。何度か尻餅をついたけれど。
かなりの強風が吹き荒れていた。
1000mの稜線は体感温度は-5度オーバー。凍える。
正直もっと気軽なハイキングを想定してたんだけどな笑
ちょっと装備も心許ない。
久々にハードシェルのジッパーが上げられなくなった。
こう風が強いと動き続けなければ。と止まれない。
ゆっくり止まって地形図を見たりができなくなるのは
OMM UKで体感したあの感じだ。 途中風を避けられるところでみんなで作戦会議。
「命を大事にで行こう」
ということで標高を落としてとりあえず風が落ち着くところを探し三瀬峠前の新村別れから新村方面に降りることにする。
まさか、晴れ間を狙ったはずがこんなにアドベンチャーになるなんてね。こんなに想定と天気が違ったのは初めて。装備は保険マージンが必要だなと改めて感じた。
【保険考1】
今回インサレーションは小さめのWM Mileを持っていったので羽毛ダウンの超コンパクトなものを持参。だけどここは濡れに強い化繊のEEのTorrid Pulloverを持っていけばよかったと思った。行動中ハードシェルの上から着てもいい。そういった時用に自分は大きめのLサイズを着ている。実測で251g。少しの違いで安心感が段違いだ。
最後の最後、もし体温を行動中に上げきれなくなった時は…行動中にこいつを着てプロテクションをとり、ゆっくりでも歩く。絶大な安心感をもたらしてくれたはずだ。今回はその二歩手前という感じ。峠に降りたらまた寒い。
北海道の雪合宿では、どんなに気温が落ちてバックカントリーでくたくたになっても車で温泉に行けたから、毎日体力回復できたんだね〜なんていいながらビバーク地を探す。
峠に降りて電波を確認したらGoogle Mapを開いてたまらず温泉と入力。するとバスに乗り40分の箇所に温泉発見。
とりあえず3人とも歯をカチカチ言わせてるレベルなので 迷わずそこに向かうことにする。
その後、色々あって人の温かみと出合いの結果、古湯温泉という温泉エリアに車で途中まで送ってくれた。転がり込んで一泊することに。
ここらへんの流れはまさに旅。と言う感じで今回で動画で撮ってあるのでYouTube(後編)で確認してもらえたら嬉しいです。
旅は人との出会いだなと改めて感じた。
そんなこんなで男3人浴衣で民宿に素泊まりした。
さて、思うように進むことができていない!明日の最終日をどこにゴールを設定するか話し合いながら10時ごろ眠りについた。とにかく真っ白でない360度の景色が一目でも見たい👀
しかしなかなか眠れない俺!
疲れてるのに?なぜだろう
↑
よくよく振り返ると脱水症状だったっぽい。寒いから水の補給も億劫となって温泉浸かってすぐお酒。アルコールは水分補給の敵だし水らしい水を飲んでなかったのね。以後の反省とする。
そんなこんなで明日は最終日。
外は段々と白んで行くのであった。
Day3
古湯温泉の源泉掛け流し大衆浴場、英龍温泉を出たのは朝の7:30。
ここからトレイルの三瀬峠までタクシーで戻る。3人で割って一人2000円。車で15分。あっという間にトレイル復帰。
歩き出しは8時でそこから三瀬山、金山… と歩いていく。天気は晴れて上空には青空が!嬉しい。でも相変わらず風は冷たく寒い。
金山までの道なりはとても歩きやすく枯葉が敷き詰められた静かなトレイルで一番今回好きだと感じた。美しいブナの林にところどころ平らな一人で横になれる風を避けたスペースなど一人で静かにビバークするにはとても選択肢が多い優れた場所だと思った。
僕は昨年春のハッピーハイカーズのイベントで
「九州はハイカー天国。ビバーク天国」
というところが自分は好きで通っている。九州の知らない山に沢山行きたいなぁって思っていて横山君が僕らの九州トレイルソムリエとしていつも調査をしてくれてるから心強い。これからも色々トレイル情報を聞きたい方は Moonlightgear福岡店にどうぞ。
今回の金山は初心者の方から熟練の方も楽しめる山だと思った。どこか関東でいうと奥多摩っぽいかも。なんか懐かしかった。久しぶりに奥多摩あたり日原方面とか行きたくなりました。
福岡側、佐賀側、いろんな場所から楽しんで上がれるのもGood。でも頂上付近が5方向からの分岐になってるので道迷いは気をつけてくださいね。やがて開けた岩場からの景色が素晴らしい。鬼が鼻岩はまるで屋久島の太鼓岩のようで天気が良くて無風ならコーヒーでも淹れたい素晴らしい場所だった。ここがハイライトだったかな今回の山行の。
ここから脊振山を見てレーダーを確認して歩く。
いよいよ我々の今回のゴールに向かう。
脊振の全縦走は今回は悪天候と料理重視の重い荷物でとてもじゃないけど完歩できなかった。いつか太宰府まで繋げたいな。
今回の大阪の吉谷店長のログ報告は68kmの山行を終えた。
さてゴールで記念撮影を撮ったあと、おまけ話が。
今回自分が東京に帰る飛行機には次のバス乗らないと間に合わないかも!ということを脊振の山直下の道で知る。
現在時刻 14:15 バスの時間 15:30
バス停までのコースタイム1時間50分….
走るしかないじゃんということで矢筈峠の沢すじのガレたトレイルを走って急ぐ!林道も止まらず走る、走る。
シーズン初めの身体に鞭を打つ機会としては最高だったけど走ってる最中は必死。
結果バス停に10分前に滑り込んで倒れ込む。
いやー疲れた!笑
でも VIVOBAREFOOTの MAGNA WR SGの足上げの軽さはマジで最高。バリバリスピードハイクできること、ぬるぬるのトレイルもガッチリ止まれること、がわかってよかった。今回の山の最高のチョイスだった一つでした。
そして天神に戻り、僕らの念願だったカツ丼を食らい、空港に戻り家族に明太子を買い、無事二泊三日の旅が幕を閉じたのでした。
冬の雪板生活から戻りハイキングでのハードな状況下のギアの選定の楽しさも改めて知れたし、なんとも楽しかった!
ガスガスの真っ白い背振前半をずんずん進み、美味しいトレイルご飯を楽しみ、人の温かみと古湯温泉のぬるめの湯質に癒され、岩場から見える海。
脊振全縦走。いつかまたチャレンジしたいと思いました。
Written by : Takashi Chiyoda