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ご褒美は北アルプスでナン?!|蝶ヶ岳×徳沢ルート、2泊3日山旅 2025-07-09

アルプスでナンをこねたい。という妻の驚きの発言からはじまった今回のアルプス山行
「北アルプスでナンをこねる」なんて想像したことありますか?

8月の上旬。大阪から車で向かう、仲良し夫婦との2泊3日。
笑いと絶景と、ナン。
今回の舞台は蝶ヶ岳。徳沢ルートをベースに、工程や装備を軽くご紹介します。

上高地から徳沢までは、梓川沿いの遊歩道を歩いて約2時間。景色も美しく、初心者にも安心のアプローチ。徳沢ロッジ日帰り入浴することも可能なので2日間ともお風呂入れないのは、、、という方も安心です。

アクセス情報:大阪から北アルプスへの行き方(車)

大阪市内から名神・中央道を経由して松本ICで下車。そこから国道158号を通って約1時間走ると、あかんだな駐車場に到着します。休憩含めて、所要時間はだいたい4.5〜5時間。
上高地はマイカー規制があるため、あかんだなで車を停めてシャトルバスまたはタクシーで上高地バスターミナルへ(約30分)
タクシーも定額なので少しバスより高かったですが、すぐに乗車可能なタクシーをチョイス。

森と清流の癒しルート|上高地から徳沢へ【1日目】

1日目は時間もあったので大正池から歩くことになりました。

大正池の静寂な水面、梓川のせせらぎ、そして今回時間を共に過ごす仲間と歩くやわらかな木漏れ日の道 。

大正池から徳沢へ、美しい散策スタート

朝、大正池でタクシーを降りると、眼前には穂高連峰が水面に映る幻想的な風景。
ここから始まる散策路は、川沿いのゆるやかな登山道で、体力に自信がない人にもおすすめです。

大正池 → 田代池 → 河童橋と、清流と緑が織りなす風景に癒されながら、1時間ほどのんびり歩きます。時折聞こえる野鳥のさえずりも心地よく、日常の喧騒をすっかり忘れさせてくれました。
水切り遊びをしている人たちにまぎれて僕も参戦。

上高地のランドマーク的な存在の河童橋に到着

まさかの写真撮り忘れ。笑
代わりに道中に出会ったおさるの親子を。

森と清流に包まれた静かな道を歩いていると、ふいに開けた空間に出ます。そこに架かるのが、上高地の象徴とも言える河童橋(かっぱばし)。

目の前には穂高連峰の迫力ある山並み、眼下には透き通る梓川の清流。ここから見上げる景色は、まるで絵葉書のような美しさで、訪れる人の足を止めさせます。

橋のまわりには、カフェや売店、インフォメーションが並び、登山者も観光客も入り混じるにぎやかな空間。

徳澤園みちくさ食堂で味わう名物、野沢菜チャーハン

河童橋からさらに約2時間、明神を経由して森のトンネルを抜けてた**徳沢(とくさわ)に到着。
ここには、創業100年を超える名門山小屋「徳澤園」があります。

お目当ては、登山者のあいだでも評判の名物・みちくさ食堂の野沢菜チャーハン。
女将さんが種蒔きから始め、漬けて、炒める迄おこなっているというこだわりの逸品。
炒めたてアツアツのごはんに、信州らしい野沢菜のシャキシャキ感。
ちょっぴり焦げた香ばしさと、卵の優しい味が、疲れた身体にじんわり染み渡ります。

この「ホッとする味」は、あとから振り返るとまた食べたくなる山旅のご褒美。
仲間とベンチでチャーハンと買い足したピザを分け合いながら、「またここに来たい」と自然に思えた時間でした。

徳沢キャンプ場でテント泊

1日歩いたあとは、徳沢キャンプ場でテント泊。
広々としたフリーサイトには、100張以上張れるほどのスペースがあり、平坦で設営しやすく、水はけも◎。徳沢園や徳沢ロッジでは、山小屋泊も可能。ふかふかの布団で寝られる安心感も魅力です。

水場・トイレ、外来入浴可能なロッジもあり、登山前後の疲れを癒せます。
お昼ごはんを食べお腹いっぱいになったのでテントを設営し、一旦お昼寝。
お昼寝したらロッジでお風呂に入り、お楽しみの夕食タイムへ

エバニュー U.L アルパンを使い、白米麺で夕飯作り

各自持ってきた食料のプレゼンタイム

初日の主食として使ったのは、鳥取県の米農家「宮内舎(みやうちしゃ)」が手がける【白米麺】。
小麦不使用、グルテンフリーでありながら、驚くほどつるりとした食感と、もちもちとしたコシが魅力の一品です。
茹で時間も短くガス缶を節約できるのも嬉しい。

原材料は、農薬・化学肥料不使用で育てた鳥取県産コシヒカリの白米と少量の馬鈴薯でん粉・塩のみ。
シンプルな素材だけで作られているからこそ、体にもやさしく、後味もとても軽やか。

乾麺なので、山にも持ち運びしやすく、調理もお湯で茹でるだけ。
今回はエバニューのULアルパンで茹で、パタゴニアプロビジョンズのムール貝オイル漬けと合わせましたが、和・洋・エスニック、どんな味付けにもよく合います。

今回はフライパン購入時に付属しているメッシュ素材のスタッフサック使い湯切り。
※炊事場で湯切りしました。

二次会は、お待ちかねの晩酌タイム

この旅の相棒は、ハイカーズジン 3rd Trail。
このボトルには、北アルプス麓・信濃大町産の雪中りんごと、信州安曇野で収穫されたフレッシュカモミールが使われています。りんごのふくよかな甘さと、カモミールのやわらかいハーブ香が絶妙に溶け合い、癒しの味わいが広がります 。

今回はお湯を沸かし、その中にジンとひとかけの黒糖をプラス。
こちらはバディが持ってきてくれた奄美大島の黒糖。ミネラルが豊富で行動食にもおすすめです。

黒糖の深いコクがじんわり溶け出し、身体の芯まで温めてくれます。
少量でもしっかりと満足できる高アルコール度数(45.4%)のジンだからこそ、一杯でも十分な濃密な満足感。

【2日目】いざ、蝶ヶ岳テン場へ!絶景×手ごねナンで山頂ごはん

鳥の声に見送られながら、蝶ヶ岳へと向けて出発しました。
空気はひんやりとして澄んでおり、初めてのテント泊で思ったよりよく眠れたという妻の一言に安心し、前日の疲れを少しだけ残しながらも、足取りは軽やか。

徳沢から始まる静かな登り

最初はなだらかな森の道。けれどすぐに、ぐっと傾斜が増してきます。いよいよ急登ゾーンの始まり。
木の根をつかみ、汗をかきながら一歩ずつ登っていくと、ふと木々の間から遠くの稜線が見えました。

蝶ヶ岳テント場に到着|稜線上に広がる嬉しい安心設備

ようやくたどり着いた蝶ヶ岳のテント場。
標高約2,600m、森林限界を超えたそこには、広くて開放的なスペースが広がっていました。

地面は整っていてテントも張りやすく、適度にハイマツが点在しているおかげで風を和らげてくれます。受付は蝶ヶ岳ヒュッテで行い、ヒュッテの裏手には水場も完備。冷たくておいしい水が使えるのは、本当にありがたい。

バイオトイレも完備されていて、ヒュッテ宿泊者でなくても利用可能(有料)。環境に配慮しつつ、快適に過ごせる設備が整っているのはさすが人気のテント場。
まずはテントを設営。

偶然にもシックスムーンデザインズのシェルターが並ぶ

今回、仲良し夫婦と僕たち使ったのは、シックスムーンデザインズのシェルター。
2人で使うには少しタイトだけれど、荷物をコンパクトにまとめれば快適に横になれる絶妙なサイズ感です。ソロならゆったり。2人でも「山ならこれで十分」と思えるスペック。

もちろん、蝶ヶ岳のような稜線テン場では天候や風向きをきちんと読みながら設営することが大前提。
張り綱のテンションや風の抜け方を考えれば、アルプスでも安心して使える軽量シェルターです。


▶︎ 使用シェルターの詳細はこちら
右:Six Moon Designs Deschutes Plus Tarp 
左:Six Moon Designs Lunar Solo 

稜線ごはんの幕開けは、蝶ヶ岳ヒュッテのあったかラーメン

テントを張り終えると、ほっとした気の緩みとともに一気に疲れがやってくる。
そんなとき、蝶ヶ岳ヒュッテの売店で目に入った「ラーメン」の文字。迷わず頼んでしまいました。
到着してから最初の一杯が、湯気を立てるあたたかいラーメン。
その優しい塩味のスープが、乾いた喉と疲れた体にじんわりと染み渡っていく。
標高2,600mの稜線で食べるラーメンは、それだけでちょっとしたごちそう。

山頂近くのヒュッテで、あたたかい食べものがあることのありがたさを噛みしめながら味わいます。

ついに北アルプス山域の中で、手ごねナンに挑戦!

今回の旅のテーマは、“絶景と手ごねナン”。
エバニューのフライパンを使い、ナン生地をこねこね。無印良品さんのナン粉は水を混ぜるだけのシンプルな配合ながら、こねる手に風が心地よく当たり、みんな無心でこね続けます。

生地をフライパンに伸ばす。パッケージの様な細長いナンをイメージし伸ばしていくも、途中でフライパンに収まらないことに気がつく。笑

こねくり回してこねくり回して、ナンに景色を見せてあげたり。

発酵待ちという名の昼寝をはさみ、続きに取り掛かります。じっくり焼き上げていくと、ふわっと香ばしい香りが漂ってきます。
焼き色がついたナンに、持参したカレーや思い思いの持参したトッピングを添えたら完成。

目の前には、槍・穂高の大パノラマ。高山の稜線で、自分の手で焼いたナンをほおばるという贅沢。

3日目の朝|朝日とコーヒーで迎える最終日

最終日の朝。テントの外がほんのり赤く染まりはじめ、稜線に光が差し込んできました。
風は穏やかで、寒さもちょうどよく、思わず「あと30分…」と寝袋にくるまりたくなる時間。

それでも、朝日は一瞬。お湯を沸かし、コーヒーを片手に、東の空を見つめます。
山の朝は、なぜこんなにも優しく、背中を押してくれるのでしょうか。
朝日の写真はあえて載せません。是非ご自身の目で見にいってみてくださいね。

今回の背負ったザックは、いずれもハイパーライトマウンテンギア

(Hyperlite Mountain Gear)軽量で耐久性に優れ、無駄のない機能美が魅力です。

■Waypoint 35(ウェイポイント35)
メインザックとして活躍したのが「Waypoint 35」。
35Lとは思えないほどのパッキング力と背負い心地で、1泊2日〜2泊3日のUL志向の山旅にちょうどいい容量感。DCFのハリ感と防水性、適度な剛性がありながら、しなやかに身体にフィットしてくれます。フロントポケットやショルダーストラップ周りの収納力も絶妙で、行動中の出し入れもスムーズでした。

■Daybreak(デイブレイク)
パートナーは「Daybreak」を使用。こちらは日帰り〜小屋泊を想定したコンパクトモデルですが、UL装備であれば1泊程度なら十分こなせます。
フロントポケットの大容量と、フィット感の高いショルダーハーネスが特徴で、背中にピタッと収まる感覚がクセになる使い心地です。
荷物の少ないテント泊や、サブザックや普段のデイバッグにもぴったりな万能パックです。

いざ、下山へ|思い出を背負って

朝日をたっぷり浴びたら、いよいよ下山開始。
登りの急登を今度は一気にくだり、再び森の中へ。木漏れ日の中をテンポよく歩いていくと、あっという間に徳沢に到着。

徳沢ではちょっとだけ休憩し、河童橋を渡り帰路につきました。

トンボに好かれまくったしのぴー。

この旅で感じたこと

今回は仲良し夫婦と一緒に山旅へ。
蝶ヶ岳の絶景、穏やかなテント場、そして自分たちの手でこねたナンや山ごはんは、どれも最高のご褒美でした。そして何より、軽さと快適さを両立できたULギアの存在が、山旅をもっと自由に、もっと楽しくしてくれました。

「また来よう」じゃなくて、「またここで食べよう」。
そう思える“山とごはんの記憶”が、今回の一番の収穫だったのかもしれません。