伊藤新道 2024-09-20

伊藤新道を歩く 2023年夏

 

2023年 8月 北アルプス黒部源流地域へ伊藤新道から巡る旅

2023年の夏、40年ぶりに伊藤新道が再び開通した。

3泊4日で伊藤新道から入山し、北アルプス最奥地である雲ノ平山荘を経由し、黒部源流地域を釣りをしながら歩いてきた。伊藤新道は昔戦後の登山シーンにおいては多くの人々が利用し、信濃大町から三俣、秘境の地 雲ノ平へと続く最短ルート。その後ダム建設によって人々から使われることが少なくなったルート。

 

伊藤新道を歩く

伊藤新道を歩く上で必要不可欠なことはその現地の情報。それ無くしては状況を想定した装備、行程ルートも難しい。

こちらのウェブサイトにライブカメラや気をつけないポイントなども記載しています。

北アルプス黒部源流→ https://mitsumatasanso.com/itoshindo/

 

Day 1 移動日 関西から大町へ車移動→七倉山荘ー高瀬ダムー湯俣山荘)

Day 2 湯俣山荘ー伊藤新道ー三又山荘ー雲の平

Day 3 雲の平ー黒部源流ー三又山荘

Day 4 三又山荘ー伊藤新道ー湯俣山荘(ゆまキャンイベント2日間)

 

Day 1

台風が通り過ぎた翌日、台風の影響がどのくらいなのか不安の中、朝10時に安曇野ICのマクドナルドで千代田さんと合流のため、早朝に大阪を出発。安曇野ICを降りて、コンビニでコーヒーを飲んで待っているとすぐに千代田さんから連絡があり、合流することができた。

朝マックをしながら天気図を見て作戦会議。その日の目的は湯俣山荘に夕方には到着したい、ただそれだけ。

そのため、お昼前まで時間があるため、少しゆっくりと準備することができた。

信濃大町を散策し、食料調達とともに現地情報を得るために三俣図書館へ。しかし休日だったため、大町の温泉郷の中の一つ薬師の湯で湯に浸かりながら今回の旅の計画を立て直す。頭の中は同じような構想があったため、ルート修正や今回の山行のテーマがすぐに決まり、高瀬ダムへと向かう。

 

七倉山荘に到着、そこから暗くて長いトンネルを抜けて、光が見えてくる。

トンネルを抜けるたびに、異世界に来たのでは?と何度も疑う。

 

19時頃に40年ぶりに復活する湯俣山荘に到着。中でオープニングイベントに向けて準備中の小屋番の方へご挨拶。そこでここ最近の降水量とルートを再度確認。

台風の影響もあったため、小屋番の方の情報がなければ、僕たちは伊藤新道を歩けず、竹村新道から登っていた。この伊藤新道にとって、貴重なお方だ。水位も、濁りも少なく伊藤新道を登る上で良い状況だと‼️その情報を聞いてガッツポーズ💪

野湯を掘り、熱い温泉と川水が入り混じるちょうどいい湯加減を作るのに夢中になる。石を積み、湯船の近くでビビィサックを使い、そこを寝床にした。ヘッドライトを消せば、そこは満天の星空の下。

仕事終わりに高瀬ダムから向かえば、真夜中にはここまで来れるね、など話しながらこの伊藤新道がこれからの山行計画にいろんなバリエーションをもたらしてくれる可能性を感じ、その時のワクワク感はいつものアルプスへ来る時とは違い、これからの冒険への心の高鳴りがいつまで鳴り響いていた。

坂本龍一の音楽を聴きながら、その日は眠りに落ちた。

 

 

Day 2(前編)

AM5:00起床

 

周りはまだ薄暗い。自分たちが暗闇の中ステルスしていた場所がようやくわかる。

こんなところで寝ていたのか。光が差し込み、周りの岩を照らす。

 

ビビィだから撤収も早く、起きてから10分で行動開始w

 

今日の行程

伊藤新道ー三俣山荘ー雲の平山荘

 

湯俣川は硫黄成分があるせいか、底石には苔が付いていなくて、しっかりと足裏感覚があり滑る感じがしない。小屋番の方の情報通り水流、水質も透き通っていて、「これが湯俣ブルーかぁ〜、すげ〜なぁ〜最高だなぁ〜」と中学生レベルの言葉しか出てこない。最高だなぁ〜と連呼しながら遡上していく。

第一吊橋、第二吊橋と通過していくが、渡渉するポイントを見逃さずに川の弱点をついていく。深いところで太ももが浸かるくらいだった。170cmくらいで太ももが浸かるくらいだとすれば、小柄な方だと腰まではいくだろう。

 

日が差し込んできて、体がホテってくる。暑くなったらすぐドボンして汗を流す。その繰り返し。何回ドボンしたのだろうか覚えていない。

今回の足元は vivobarefootのHydra ESC 🦶

ショーツはslow tide shortsが相性良く、水に股下まで浸かりながら歩くことができた。しっかり足裏感覚ビンビンで浮石かどうかや、底面がしっかりグリップかかってるか脳に伝わってくる🦶もちろんombrazをかけたら、水面までばっちり見える🕶️伊藤新道は渡渉ポイントにピンクテープを巻いた石が置いてあるから、その周囲の水位を確認し弱点を突きながら渡れる。

 

青空との境界線ライン2500m級の稜線が見えてくる。あー今からあそこに立つんだなと2人で立ち止まって顔見合わせる。「ヤバいね、最高だね!!」

 

冒険心をくすぐる伊藤新道は見どころ満載。本当にトレイル整備をしていただいた方々には感謝の気持ちでいっぱいだ。

 

いつも北アルプスの稜線へ上がるため新穂高から三俣まで行くには、どこかいつもの作業をこなしてる感じがある。でもこの伊藤新道は違う。その前後の天気予報で水位が違えば、その山行のレベル、美しさも違う。毎回違った景色、冒険が待っているんだろうなと感じた。ワイルドな自然が残っている。いつのだろうか、ビバーク跡も残っている。

 

伊藤新道は自身の山の経験値や技量を試すことができる。バリエーションに富んだルート。第五吊り橋以降は森の中へ⛰️

 

その前に川にドボン。何回ドボンしただろうか笑 ほてった身体が冷やされる。そういえば、筋肉痛に全くならなかったのはこのおかげかもしれない。冷泉が体温をいい感じに抑えてくれて、ずっと浸かっていたいくらい。

 

赤沢からグッと標高を一気に上げるので、息が上がるセクション。手足を使いながら緊張感のある森を這い上がるとご褒美が。今まで見たことない角度から槍ヶ岳が顔を出す⛰️このまま歩くと裏銀座と合流🤝後ろを振り返ると伊藤新道。コロラドリバーのようにウネウネしてる。ここは日本なのだろうか。

 

ありのままの自然な状態で、残されていたラストフロンティア。自分を試すことができる壮大な自然を前に全てを受け止めてくれる優しさと厳しさを感じ、冒険が待っている。

伊藤新道本当に楽しすぎた。

三俣山荘でサイフォンコーヒーで、乾杯だ!と千代田さんと話しながら、三俣山荘へと向かう。

 

Day 2(後編)

1日で、湯俣温泉♨️から伊藤新道を使えば三俣へ一気に上がれる。歩けるのであればその先の雲ノ平へも抜けれるな。黒部源流域への山行行程も大きなアドバンテージとなってくるなと思う。

三俣山荘で働く村井さんにご挨拶。村井さんはいつもOMM本戦でボランティアスタッフとしてお世話になっている方だ。優しい笑顔で迎えてくれた。

 

山荘で雲ノ平までのCTやこれからの行程を確認しているとMLG東京チームと大阪チームが中へ入ってくる笑

皆台風の影響でルート変更していたため、まさかの遭遇笑 これからどうするの?など談笑し、話が尽きない⛰️

今日はみんな三俣泊らしいが自分たちは更に秘境の地、雲ノ平を目指す。またどこかで会えたら👋と僕たちは先を急ぐ。

雨だ、雨とガスで神秘的な空間が広がる。Halo Jktとslow tide shortsの組み合わせでレインハイクも個人的には楽しい。明日の釣りも水量が少し上がって、魚たちの緊張感もほぐれて良さそうだなと想いつつ雲ノ平へ向う🎣⛰️

 

雲ノ平は去年も来ていたが今回は小屋泊。ずっと泊まってみたかった小屋だ。伊藤二郎さん、真由香さん、小屋で働く方々、アーティストの方々、みんなこの雲ノ平という場、そこに集まる人、空間を日常生活の場と同じように過ごしている。最高に居心地が良いな。

夜ご飯も家族のようにテーブルを囲み、談笑していたらあっという間に寝る時間だ。あー布団がありがたい。気づいたらもう眠りに落ちていた。

 

小屋でこんなにゆっくり過ごしたのは初めてかもしれない。耳栓をして寝ていたので、周囲のみんながパッキングし始めるころに目が覚めた。行程的にもそんなに急ぐ必要はなかったので各々みんな違う行程で歩き出す方たちを見送り、淹れたてのコーヒーを片手に朝の誰もいない部屋の時間を楽しんだ。今日の迎え入れる準備にみんな大忙し。掃除機の音、布団整理しながら廊下を歩く音、みんなの足音が鳴り響く。

3日目は雨予報だったのに快晴。

 

出発の時に小屋の皆さんが鐘を鳴らして見送ってくれたのはすごく嬉しかった。あーまた来たいな。自分が海外を旅しているのも人と会うため、山小屋も同じよう。また会いたい人が出来たことに今回の山旅が特別なものとなった。

 

Day 3

鐘の音と共に雲ノ平山荘を背にして歩き始める。山荘で働くニシくんに案内してもらいボルダースポットへ。1時間ほど1つの岩でみんなで遊ぶことに!岩の背景にはアルプス山脈が広がる。ただここにいるだけで幸せだ。

 

その後、黒部源流域へ下るがここがツルツルだったので注意しながら足場を探りながら降る。目星をつけていたエリアに入ると目の前はパラダイス🎣千代田さんもいいサイズのイワナを釣って楽しんでる様子。源流にテンカラは本当相性良し。PA'LANTE joeyも肩に負担が無い分キャスティングがめっちゃしやすい🙆‍♂️ガシガシと足早に詰めることができるし、やはり地図読みして、目星をつけたエリアで釣れるのは嬉しい🎣⛰️OMMのポイントを掴んでいるようだ。

 

黒部源流域を遡上し、三俣山荘へ上がると今まで見たことないような景色が広がる。

 

槍ヶ岳と鷲羽岳に虹🌈がかかっている⛰️なんていうご褒美だ。人生の中で一番美しい景色を見ていたのかもしれない。

なんか嬉しさと共に明日下山するのかという寂しさと複雑な心境。

 

三俣から伊藤新道へと向かうところでビバーク。星空が広がり、ビビィサックに入るとまるで星が降ってくるかのようだ。流れ星をいくつみたのだろうか。ビビィ泊の醍醐味を目の当たりにした夜だった。

 

この数日間、毎日が最高だった。千代田さんとのプランニングで今回は黒部源流域を有意義に満喫することができた。こんな山行は久しぶりだな。会いたい人にも出会えた。必ずまたこのルートを歩くだろう。でも、今回は千代田さんと歩いたがまた次回行く時はまた違って楽しいんだろうなーと思いながら、星を見ながらSigur Rosを聞いて眠りに落ちた

 

Day 4

朝焼けと共に、流れ星かと思いきや、稜線上にヘッドライトの灯りがチラチラと動き始める。

朝だ。目が慣れてくると台湾発酵茶を温めながら動き始める準備。

 

今日はゆまキャンだ。伊藤新道が40年ぶりに開通を祝うイベントに光栄なことに招待された。記念すべき日に入れることに本当幸せだ。

 

朝焼けで三俣や双六が燃えている。この時間にこの角度から見るのは初めてだなぁーと語りながら、本当その場にいれたことに感謝しながら2人して歩き始める。遠くに見えていた槍ヶ岳も近くなってきた。また森林セクションを超えて、湯俣川へと降りていく。

 

この降りはかなり足場を慎重に選ぶ。気が抜けないセクションだ。マーキングを見落とさずに慎重に降る。湯俣川へ降りる景色も格別だった。

湯俣川セクションに戻ると、「一休みしようよ」と昼寝なんて贅沢な時間だ。

人生において、今回の山行は特別なものとなった。

 

昼寝しながらいい話もできた。自然の中で生まれる会話は美しいと思う。

第五吊り橋を超え、ドンドン湯俣山荘へ近づいていく。みんなと会う前にドボン、ドボン、ドボン🩲

汗を流して、体を綺麗さっぱり清潔にw

硫黄の香りが強くなるにつれて、太陽も頂上付近へ。ついた。あっという間にイベント会場に戻るとみんなが待っていた。

 

伊藤新道を歩いてみて、やはり思ったのが「冒険」だ。自分の経験値が試される、誰しも簡単にはいけないそんな場所。だからこそ心が高鳴り、チャレンジしてみたくなるんだろう。そして、その瞬間瞬間で目の前に広がる景色は一生忘れない記録になるだろう。

そんな伊藤新道の復活に関わる方々は想像を遥かに超えるハードワークをし、復活を成し遂げたことに感謝しかない。本当にありがとうございます。また必ず会いに行きます。

 

また歩きに行きたいな。何度歩いても同じ景色には決してならない伊藤新道はいつでも自分たちを試す場としてまた再訪したい。

 

ありがとう、伊藤新道⛰️

 

2024年3月に発生した七倉ゲート~高瀬ダム堰堤間の落石事故の影響で、夏山シーズンいっぱいの復旧が見込まれています。

このためアクセスが困難となり、経営難に陥る可能性が高い湯俣および裏銀座エリアの山小屋を救済するため、チャリティーイベントを開催。ぜひ、その魅力を次の世代に残していく上でぜひご協力ください。

山小屋救済チャリティイベント

URAGIN

2024.9.21(SAT)-22(SUN) @MORIPARK OutdoorVillage 森パークアウトドアヴィレッジ

山小屋救済チャリティイベント URAGIN 専用ページ https://neoalps.com/uragin2024/

 

#伊藤新道

#黒部源流



written by : 吉谷一哉

 






PACKING LIST

製品 重量(g)
バックパック
PA'LANTE / Joey 419
合計  
   
スリーピングシステム
OMM / Mountain Core 125 380
THERM-A-REST / NeoAir UberLite Small 170
合計 550
   
テント・シェルター
Six Moon Designs / Gatewood Cape 285
Six Moon Designs / Carbon Fiber Tent Pole 51
MSR / Mini Groundhog Stake × 7本 70
Mountain Laurel Designs / Superlight Solo Bivy 170
Tyvek Sheet 112
合計 688
   
クッカーシステム
EVERNEW / 400 FD NH 34
TOAKS / Titanium Lids 95mm 16
EVERNEW / Ti9G Windshield 9
EXOTAC / Nano Spark 17
合計 76
   
ウェア(防寒着、雨具)
OMM / Core Hoody 125
OMM / Core Tights 130
OMM / Halo JKT 130
OMM / Halo Pants 69
合計 454
   
ウェア(行動着)
OMM / Core Vest 62
MOONLIGHTGEAR / Slow Tide Shorts 125
Hiker Trash / Hike Trek Mid  
2-tacs / Regullar Coller Shirt 38
Vivobarefoot / Hydra ESC 640
合計 1251
   
その他
HIGH TAIL DESIGNS / The Ultralight Fanny Pack 51
OMBRAZ / CLASSIC Armless Sunglasses 21
フライボックス 200
テンカラ竿 65
ランディングネット 150
合計 487
   
パッキングギア合計 ※行動着を除く 2184