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九州脊梁縦走 2025-03-31
こんにちは!
ムーンライトギア福岡店の松本です。
今回は僕が2024年11月に歩いた九州脊梁山行をご紹介します。
もとをたどればOMM JAPANに参加できない空白の休日期間から生まれた山行。
6月に俺たちのOMMのイベントに参加した後、今年も友人を誘って出ようかなと考えていたのですが、見事に友人に振られました笑
振られる理由は自分でも分かっていて、2023年の北八ヶ岳で山初心者の友人を連行したうえに道迷い&ロストをかまし、険悪なムードになったという苦い思いでがあるからです。
バディとは今でも仲良いので、安心してください。
しかし、OMMに出れないことで消化しきれないこの気持ちどうしたらいいんだ‥‥
そうだ、おれのチャレンジ山行をしよう!
これまでに最長が2泊だったので、長めの山行にチャレンジ。
OMM休暇と称して9日間の休暇を前もってとっていたので、この休暇を最大限に活かして冒険をしよう。
そう考えた時に頭に浮かんだのが九州脊梁山域。
人里から離れた山深いこの場所はまさに冒険感が満載だろう。
ざっくりとした計画とルート案をいくつか立て、計画段階では計6泊7日を予定。
ここまでの長い山行は初めてだったので装備や食事についても考えて挑みました。
Day.1
湯山峠~江代山~ぼんさん峠
Day.2
ぼんさん峠~銚子笠~時雨岳~峰越
Day.3
峰越~国見岳~山地湿原~椎谷峠
Day.4
椎谷峠~向坂山~木浦山~大石越
Day.5
大石越~祇園山~鏡山~馬見原
※6日目以降は天気が荒れる予報で下山することになる。
Day.1
お昼頃に湯山峠に到着し、いよいよ出発。
さあ、自分史上最長の冒険が始まる。
道中の開けた場所で振り返ると市房山のくっきりとした稜線が美しく、見渡すと街並みが見えて中央には大きな川が蛇行しながら流れているのが見えた。
進行方向を向いて歩いていると、街からもどんどん遠ざかり少しだけ不安な気持ちになる。
長い山行は初めてだからこんな気持ちになるのか、などと考えているうちに山頂を通過し、日も傾きはじめていることから泊まれそうな場所がないか探しながら進む。
今回のレイヤリングはDDジャケットとコアフーディー、手袋にはコアミット。
九州の11月であれば朝夕は冷え込むので動き出しはDDジャケットとコアフーディー、日中は暖かいのでコアフーディー単体の行動が多かった。
コアミットも大好きで、保温と通気のバランスが良く、行動中も不快なく着用し続けられる。
手の冷えが気になる冬場はマストアイテムだ!
暗くなる前に良さそうな場所をみつけたのでタープを設営して、ゆっくり過ごす。
Day.2
バタバタと風でなびくタープの音で目が覚める。
谷底から吹き上げてくる冷たい風は寝起きの体に強烈に効き、寝袋から出た途端に体温がどんどん奪われる。
凍えながらやっとの思いでパッキングをすませ、とりあえず歩きだす。
太陽が昇り、陽の光が体に当たるとめちゃくちゃ暖まる。
”太陽ありがとう”とつい言葉が出てしまう。
不土野峠に出たところで1度休憩しながらフランスパンを食べる。
今回の山行は水場が少なそうなので朝食用にフランスパンと蜂蜜を選択。
おそらくここから白鳥山までが長い急登が続く山場だろう。
起きたばかりの身体に急な登りが堪える笑
個人的に登りを歩くときに意識していることがあり、とにかく立ち止まらず忍耐強く歩くこと。気づいたら無心で歩いていることがあります。
まさに前進し続けるという意味のPA’LANTEのスタイルじゃないか笑
あれ⁉︎今回の旅の相棒はPA’LANTEのV2だ。
立ち止まってバックパックを下ろさずとも手の届く範囲で補給ができるこのバックパック。これを背負うとみんなこういうスタイルになるのか⁉︎
淡々と歩いているとあっという間に白鳥山に到着する。
白鳥山周辺には御池と呼ばれる湿地帯が広がっており、僕はこの場所が大好きで少し寄り道をしていく。
自分の足音しか聞こえないくらい辺りは静かで、吸い込まれそうな深い緑が広がっており、必ず立ち止まって見入ってしまう。
しばらく御池を堪能した後、少し進んだところでビバークをする。
タープを設営しながら小腹が空いたので行動食をつまもうと探すも、‥‥無い⁉︎
ジップロックにパンパンに詰めておいたトレイルミックスを気づかない間にどこかに落としてしまった。
美味しい組み合わせを考えながら詰め込んだ僕のトレイルミックス。
序盤で無くしてしまったうえに、食べる楽しみを失ってしまったので地味に落ち込む。
さらに追い討ちをかける出来事が‥
寝る準備をしているときに何かの気配を感じ、辺りを照らすと動物が数匹うろうろしていた。
しまいには奇声をあげながら喧嘩をおっ始める始末。
やめてくれ‥と思いながら、耳栓を装着、ビビィのチャックもほぼ全部閉め、最大限の防御をしながら眠りにつく。
しかし、疲れていたのか、そんな出来事も忘れて快眠だった。
(いろんなことが起こり、内心は下山したいという気持ちでいっぱいだった‥‥
というのは内緒。笑)
Day.3
昨晩の出来事など忘れて、朝日を見ながらしばらくは気持ちのよい稜線を満喫しながら歩く。
少し腰を下ろして休憩するはずだったが、あまりのポカポカ陽気につい横になってうとうとしてしまう。
ゆっくりと雲が流れ、遠くには飛行機雲も見える。
気持ち良すぎてずっとゴロゴロしていたいが、重くなった腰を上げて歩き出し熊本県最高峰の国見岳に到着。
360度見渡せる景色が美しく、遠くにはぼんやりと街並みが見える。
山頂にはご夫婦がいて少し話をした後、頑張ってねと行動食を頂いた。
出発して3日も経っていないが、人に会って話すだけでなんだかほっこりする。
当初の計画ではここから1度下山予定であったが、縦走路を繋いで迂回しても日程的に変わらなさそうなので縦走路を使って先に進むことにする。
九州の中でも山深いこのエリアはトレースが少なく荒野ぽい景色が印象的。
特有の風景が広がり、景色に見入ってしまったり、写真を撮りたくなってしまう場所が多い。
今日は椎矢峠まで歩き、タープを張ってビバークする。
Day.4
明け方くらいにポタポタと雨がタープを打ちつける音が微かにきこえてくる。
ビビィから顔を出し外の様子を伺うと、辺り一面真っ白だ。
今回、屋根として持ってきたHMGの8.6×8.6フラットタープ。
MLDのFKTビビィも持ってきていたので、ここまでサイズの大きいタープは豪華すぎると思いましたが、大きさと軽さが絶妙でビバークする場所や景色によって様々な張り方ができるのが素晴らしい点です。
保水しない生地も長期の冒険ではかなり良いです。
みんな大好きなこのタープ、僕も好きになりました。
稜線に出ると視界が悪いうえに風も強くなる。
岩壁で風が遮られた場所を見つけ、朝食をとって足早に先へ進む。
向坂山に到着したら電波が入り、天気予報等をチェックして態勢を整える。
今後、雨予報が続いていたことを考慮し、当初よりも2日早めて5日目に下山することに決める。
下山ルートが2通り選択肢があったが、面白そうな破線ルートを選択する。
国見峠まで来たところでご飯を食べながら地図を再確認する。
トレースやコーステープが全くない不明瞭なルートが続き、確認しながら歩いても何回か尾根を間違えてしまい、地味に体力を削られる。
途中、こんな傾斜登らせるのかというような場所もあり、体力も削られながらメンタルにも堪えはじめる。
揺岳まで着くとマーキングが復活し一安心。
大石越に降りたところで無事に水を確保し近くでビバークする。
いよいよ明日で最終日だ。
5日目
朝起きると、晴れ間が見えてとても気持ち良い。
祇園山への急登を登りきると、麓の方にはには集落が見え始める。
いよいよ長かった冒険も終わりが近づいていることを実感し、感傷的な気持ちになってくる。
しかし、そんな気持ちも吹っ飛ばしてしまうようなアップダウンのトレイルが永遠と続く。
最後くらい、余韻に浸らせてくれよと思いながらも、最後まで気を許させてくれないのが九州脊梁山域。
威風堂々たるこの山域に1度足を踏み入れてしまったら、後戻りはできません笑
最後は林道を歩き、4日ぶりの街に下り立った。
とりあえずコンビニに立ち寄り、ビールを片手に隣町の温泉にバスで移動する。
数日ぶりの温泉は浸かった途端に「あぁぁぁ〜〜〜」と心の底から声が漏れる。
温泉からあがると外は雨が降っていた。
バス停まで歩き、1日に2本しかない熊本駅行きのバスに乗り込み眠りにつく。
九州の中でも山深いこの山域。
手付かずの自然が残りダイレクトに山を楽しめる。
この魅力を体感したくなったあなたはぜひ九州に訪れて見て下さい!