アルプスと車中泊旅〜episode2〜 2024-08-05

【夏休みday3】
2022.8.13
信濃大町ぶらり旅

車中泊中、夜中に何度か他の車の出入りする音で目が覚めたが、ちゃんと起きたのは8時ぐらい。昨夜、飲み過ぎたみたいだ。何もやる気がおきなかった。

起きてぶらぶらしながら、朝からやってた駅前のビルの2階にある喫茶店に入る。

古いが丁寧に手入れされていて落ち着く。窓から朝日がいい感じに差し込んでいて気持ち良さそうなので窓際の席に座る。

朝日が思ったより強烈で、暑い、日焼けしちゃう、席変える?とKと話していると、

「男の子なんだからそんなこと気にせず、そこに座りなさい!」

と席移動を拒否される。

ノート型のクリアファイルに入ったお母さん手づくりのメニューを渡される。メニューも多いが、お母さん直筆のメッセージの熱量がすごい。ドストエフスキーの長編小説みたいなメニューだった。

「さあ、坊ちゃんたち、決まった?」

と聞かれたので、ピザトーストとコーヒーを頼んだ。

コーヒーはいくつか種類があったので、どれがおすすめか聞くとサイフォンで淹れたのがいいと言う。UCCの研修を受けた私が最上級の豆で丁寧に淹れるから絶対おいしいと勧められたのでそうすることにした。

注文するとメニューを下げられそうになったので、もう少し読みたいと伝えると、いいけど写真は撮らないでよ!と釘を刺される。メニューの至るところにお母さんの年齢が書かれていた。75歳らしい。店も40年以上やってるらしい。店のある大町、家族への愛に満ち溢れたメニューブックだった。

タピオカのポスターが貼ってあったけど、昭和からそこに貼ってあったような佇まいだった。

メニューを読み終わったころにピザトーストとコーヒーがきた。机のサイズに対してがトレー大きすぎる気がする。

Kのピザトーストが運ばれて来た。

「坊ちゃんはハスに座ってハスに!ハスってわかる?斜めってこと!お盆がテーブルに乗らないからハスに座って!」

Kは僕のハスに座る。座る場所に注文が多い店だ。

ピザトーストは今まで食べたピザトーストの中で一番アダルトな味がした。コーヒーも普通においしかった。

電話が鳴ってお母さんが店の奥に行く。何やら込み入った話のようでなかなか戻ってこない。

コーヒーを飲みながら、この後どうするか話していると、お母さんが席までやってきて、

「坊ちゃんたちさ、もう仲良くなったから言うけどさ〜」

と突然、身の上話を話し始めた。


 
結局2時間ぐらい店に滞在していた。


 
その後、腹ごなしに大町をぷらぷら散歩して、駐車場に戻って、パッキングを済ませる。

三俣山荘図書館のスタッフの人に教えてもらったジェラート屋さんとおやき屋さんに行く。どちらも素晴らしかった。




その後、オススメしてもらったサウナで整ってから、今後の山の計画を立てる。

天気が微妙だが、ある程度プランが決まったので休憩室で寝ることにする。
⁡⁡
翌日の山の腹拵えに、松本の民芸レストラン盛よしに行く。ここのご飯の大盛りはすごい。松本に寄る機会があれば必ずといってもいいほど、立ち寄るレストラン。山の前日にも、下山後にもオススメ。
 

 
松本から次の山の目的地に向かう。進行方向で雷が光りまくっていた。


【夏休みday4】
⁡2022.8.14
南アルプス鳳凰三山日帰り

午前2時登山口スタート


 
なぜこんな時間にスタートすることになったのかと言うと、午後から天気が崩れそうだったことと、翌日8/15-16で大阪から合流する友人たちと八ヶ岳全山縦走をすることになったので、早めに下山して疲れをとっておきたかったから。



眠い眠い言いながら、ドンドコ登山道から南アルプスあるあるの急登をひたすらナイトハイク。



OMMのultra8に日帰り装備だけなのでサクサク登れる。軽いって正義。日帰りの身軽な装備でアルプスの稜線を歩く素晴らしさをご存じだろうか?背中に羽が生えたような心地で歩けるので、ぜひ試してみてほしい。


 
5時ごろ日が昇って空はもう明るい。曇っているがなんとか眺望はありそうだなと話しながら歩いていると、少し開けた沢沿いに出る。オベリスクがラスボスみたいに見えて2人とも興奮する。


 
5時半ごろ鳳凰小屋で水を補給する。


 
6時ごろあともう少しでオベリスク。道が砂砂していて歩きにくい。


曇っているがちゃんとオベリスクは見える。狙った通りだ!と思っていると、ガスってきて雨がポツポツ降りはじめた。あかんではないか。



オベリスクの下にある岩陰で雨宿りしながら朝飯を食べることにする。岩陰の斜面がかなり急で足場も不安定だったので、Kがぶつぶつ文句を言っていた。じゃあ雨に濡れてきたらと、急斜面かつ砂砂してる足場で必死に踏ん張りながら、2人分のお湯を沸かしていた僕がややキレる。


朝飯を食べ終わって、雨もやんだので歩くことにするが、ガスガスで全然景色が見えない。


そのままガスで強風の中歩いていると、他の登山者に遭遇。ガスで風が強いし、眺望もないから下山するとのこと。我々は天気予報を信じて歩き続ける。



7時半ごろ赤抜沢ノ頭あたりでガスが晴れていく。



ずっと晴れているのも好きだけど、稜線上でガスが抜けて景色が広がっていく瞬間も好きだ。山と一緒に空を飛んでいる気分になれる。



Kと、お?!おー!おーっ、しゃー!と晴れていくガスを見ながらはしゃぐ。

⁡⁡


8時ごろ観音岳の手前で富士山が見える。富士山は登ったことないけど、眺めているだけで心の何かが満たされる。みんな富士山は登るより、眺める方がいいと言うけど、本当にそうなのかいつか登ってみたい。

観音岳で南アルプスの山々をしばらく眺めることにする。北岳山頂の雲がなかなかとれない。



いいカメラで写真を撮っているお兄さんとお話する。ずっと天気が悪かったので、鳳凰小屋で2泊していたそうだ。やっと晴れてくれた!と凄まじい勢いで写真を撮っていた。色んな山登りのスタイルがある。



観音岳から薬師岳まで歩く。どんどん富士山が近くなっていく。

8時40分くらいに薬師岳に到着。北岳の雲が晴れないかしばらく待つがダメだった。



9時ごろ下山を開始。ここから長い長い下り道。

下山中、木につけられた目印の赤いペンキを見て、なぜか映画「キャストアウェイ」に出てくるウィルソンを思い出す。さすがに眠くなってきたのだと思う。



眠さのせいか、雨上がりの濡れた樹の根っこを踏んでは滑るを何度か繰り返す。滑ることにだんだん腹が立ってきて、違う、こうじゃない!とかひとりでぶつぶつ言いながら、歩くことに集中しているとだんだん早足になって、いつの間にか夢中で走っていた。

気がついたらKが見えなくなっていたので、しばらく待つ。



Kが追い付いてきて一緒に歩く。しばらく歩いていると「もう急に黙って走り出したりとかしない?」とKが聞いてきた。

一緒に歩いている人が急に黙って走り出したら、すごく嫌だろうなと思う。あかんではないか

「もう急に黙って走ったりしない、ごめん」と謝る。

その後はのんびり明日の天気大丈夫かなぁ〜と話しながら歩く。

11時過ぎ下山。

青木鉱泉で温泉に入って、昼飯を食べに街へ降りる。

街ではまた古びたコインランドリー探しに苦労した。洗濯後、やたら量が多い台湾料理屋で腹拵えをする。



八ヶ岳全山のための集合場所の道の駅に着いて、友人たちと合流するまで寝ることにする。

夜中、知らない人がKが寝ている運転席側のドアを開けてきたので、2人とも飛び起きた。

ドアを開けた人も車を間違えたらしくビックリしていた。

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【夏休みday4〜5】
その次の日の八ヶ岳全山縦走は、悪天候と友人の体調不良のため撤退して、赤岳鉱泉でのテント泊に変更になったので、本ブログでは割愛します。



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【山と街を行ったり来たり】

この年に山以外にも街でのんびり過ごせたことで、またここに来たいな、また会いたいなと思える場所や人が増えた。実際にその次の年も喫茶店のお母さんに会いに行って、また長い身の上話を聞かされて、乗りたかった電車に乗り遅れたりもした。

山以外にもそうやって毎年遊びに行きたい場所や、会いたい人が増えることは、楽しみが増えて僕らの人生をカラフルに彩ってくれる気がする。

これからも山以外も旅をしながらそんな場所や人を増やしていけたらと思う。


Written by : Yoshihiro Nakatsuchi