UNHALFDRAWING
LIGHT WEIGHT Aluminium 500
匠人の技術力だからできた
世界最軽量アルミクッカー
世界最軽量のクッカーを作りたかった。
だが軽さだけを追い求めても実用性のある強固さは得られない。
軽さと強さを併せ持つもの。その開発の行程が同時に ミニマルで美しいフォルムを浮かび上がらせた。
■本体34.5g/薄アルミの限界に挑む
もはや伝説にすらなっている超軽量のクッカーの古典である 米Backpacking Lightのノンハンドルチタン鍋BPL475(36g)より軽く、強いものを作る。これが我々の今回の目標となった。
実は今までもタビ鉄以外の鍋などを作ろうと模索していた我々は小さなクッカーであれば強度を出す点ではプレス加工よりもヘラ絞りが有効である点を知っていた。そこで我々は神業を持つと呼ばれる東京下町の高橋鉸工業を訪ねた。
高橋社長は我々の無理難題の要望を一通り聞いた後、普通は成形の難しさから歩留まりが多くなる商売は嫌がるのが工場側の気持ちだろうが、笑顔で快諾してくれた。彼の自信と匠人としての技術がなければこの道具は生まれなかった。
試作を重ねていく中で素材は0.6mmのアルミ板に行き着いた。薄い素材ゆえの弱さは焼きなまし処理をした材を何度もヘラでとことんイジめて硬さを育ててカバーしていくことになった。
▲EVERNEWのT0.3 triveTiやesbit のチタンウィングストーブなど
ミニマルで軽量なストーブ五徳との相性が抜群です。
■デザインの秘密
LWA500は持ってみるとその軽さと裏腹にアルミでも簡単に歪まない強さに驚く。使っていくと表面の凸凹は出来ていくものの型が歪みにくい。
その要因の一つは大きめのフチの形状によるもの。
フチは少しツバをつけるだけでなく前後左右に大きめにカールをつけていることで端から強さを閉じ込める役目をしている。
上部1/4あたりが一番へら絞りで素材が薄くなっている箇所だが見事にその付近まで固くハリがある仕上がりになっている。
また逆台形のかたちはスタッキングがしやすいこと、コップとしての使いやすさを重視。LIGHT WEIGHT Aluminium 500の文字はその昔TrangentexistenceがONE KILNと制作した伝説の磁器のHEAVY WEIGHT Prorcelain シリーズとなっている。
蓋は工業的な雰囲気かつ裏返して皿のように使えるようにシンプルなものに。極限の薄さ0.3ミリで蓋は製作。レーザー刻印で仕上げています。
最終的に本体34.5g、蓋7gの総重量41.5gの世界最軽量のアルミクッカーが完成。
ウルトラライトの道具として歴史的に皆の記憶に残るアイテムは道具として意欲的かつシンプルな美しさを漂わせているものが多い。
UNHALFDRAWINGのこのクッカーも同じように道具用途としての先の美しさを持っていると感じる。
企画
■UNHALFDRAWING
伝統と革新の間を私たちは生きている。
大自然の前に畏敬の念を禁じ得ないように
長い歴史の成せる業には圧倒されるばかりだ。
だが私たちは再生を繰り返し生きてゆく。
変わることを恐れずに。
制作
■高橋鉸工業
東京江戸川区にて昭和24年操業開始以来、一貫してヘラシボリ加工に専念し、世の中の発展と共に切磋琢磨し、技術の発展を続け現在に至る。
新手法の開発、毎日の企業努力を怠らず品質の向上を目指す。
SPEC / 商品スペック
蓋 : 7g
総重量 : 41.5g
蓋 : 0.3mm アルミニウム
COLUMNコラム
アルミの良さは熱伝導の良さ。
煮込みや炊飯が得意な点で 長時間燃焼するアルストやミリタリーのエスビットと相性がいいです。
こういったアイテムはストイックにお湯だけ沸かせればいいというユーザーが多いアイテムですが 0.5合のお米もしっかり炊ける側面もあるので様々な使い方をしてもらえたら嬉しいです。
人はものを見たときに、どのくらいの重さかどうかを想像している。しかしこのクッカーは誰もが持った瞬間に想像していた重量でない不思議な体験をすることになる。
今回は、長い年月をかけて作った甲斐もあり 意欲的かつ魅力的な逸品が仕上がったと思っている。
writing / Chiyo